個別株をポートフォリオに組み入れる時、リスクを抑えてリターンを最大化させる組み合わせを探す必要があります。
その際に考えるべくは、以下の2点かと思います。
- 同じような値動きをする個別株を複数持つ
→決算ミスなど個別株固有のリスクを低減 - 違う値動きをする個別株を複数持つ
→景気循環など、環境変化に伴うリスクを低減
今回は、ITセクター内で個別株同士で似ている値動きをする銘柄と、異なる値動きをする銘柄がどれかを見つけていこうと思います。
(他のセクターでも要望があれば、今後、そちらもやっていきます。)
スポンサーリンク
やっとAIで米国株研究
ちなみに今まで単純集計でお茶を濁していましたが、やっとAI的な要素も取り入れようと思います。今回、利用するのは機械学習の手法で、階層クラスタリングです。
AIは大きく3つの手法に別れており、教師あり学習、教師なし学習、強化学習に大別されます。
教師データを用意できればやれることは格段に広がるのですが、株価データでなかなか教師を用意できないため、今回は教師なし学習の手法を使います。
教師なし学習でできることは主にクラスタリングで、探索的にデータから知見を取り出す際に使う手法です。
分析対象のデータはS&P500に含まれる全銘柄 + 私のポートフォリオに入っている銘柄(CGNX,ANET)です。
データ取得時に一時エラーとなったもの物あるので、488銘柄です。現在までの値動きを利回り計算のグラフで表すと以下の通りです。
階層クラスタリング
前述のグラフ(日々の運用利回り)データを与えて階層クラスタリングしてみます。
データは、全部やるとみにくいので、ITセクターだけに絞っていますが、今回はAMZNもITに含めて計算しています。なお、クラスタ間の距離はward法で計算します。
結果は、以下の通りです。同じクラスタに属する銘柄が色分けされています。閾値は0.18くらいで切ったため、8つのクラスタに分けられました。
見方としては、近い銘柄同士が順番に線で結ばれるため、同じクラスタ内でも隣り合うものはより似ていることを示しています。
各クラスタの基本統計量を以下に示します。(※クラスタ番号は上記の図に対応していません。)
平均値を見ると、クラスタ8,7が銘柄が1つずつですが最もパフォーマンスが高いです。かなり特殊な値動きをしていることがわかります。
次に銘柄3で年初来+35%のパフォーマンスとなっているクラスタ6があります。
クラスタ3からクラスタ5までは平均利回りはプラスです。クラスタ内の最小値であるminもプラスなので年初来ではクラスタ内の全ての銘柄がプラスのパフォーマンスになっています。
クラスタ2は平均利回り+7.9%ですが、一部の銘柄は-1.5%程度と年初からではマイナスになっている銘柄もあります。
クラスタ1は9銘柄あり、一部を除いてほとんどがマイナスのパフォーマンスとなっており、ITセクターの中でも不調な部類でしょう。
各クラスタの詳細
- クラスタ1:2018不調クラスタ
- 私が年初時点で持ってたCGNXが入ってます。他にはAVGOなども入ってます。
- いずれも、2月の暴落から十分に回復していません。
- クラスタ2:ほどほどクラスタ
- IBM,FB,QCOM,AAPL,INTCなどが含まれています。
- 2月の急落からやっとトントンまで戻してきたクラスタです。
- クラスタ3:ボチボチクラスタ
- 全体的にパフォーマンスはプラスです。
- GOOGL,MSFT,PYPL,V,AMATなどが含まれています。
- 先週までは普通な値動きでしたが、一部銘柄は今週にかけて大きく値上がりしています。ここから差が出て来るかもしれません。
- クラスタ4:イケイケクラスタ
- CSCOが入っています。
- 2月暴落後も復活も早く、すでに上昇曲線を描いています。
- クラスタ5:ヒャッハークラスタ
- ADBE,ANET,MA,MU,ANETが含まれています。
- 暴落後の復活も迅速で、ものすごい勢いでアゲアゲです。
- クラスタ6:異次元クラスタ
- AMZN,NVDAが含まれています。
- 暴落前の短期間ですでに+30%程度の急騰し、暴落後しばらく復活までに時間がかかりましたが、今は暴落前を上回る上昇曲線を描いている新高値更新クラスタ。
- クラスタ7:不可解クラスタ
- 知らない銘柄です。
- 暴落の影響というよりは好決算で跳ねて、次の材料待ちということでしょうか。出て来るネタ次第では上にも下にも行くでしょう。
- クラスタ8:宇宙クラスタ
- NFLXのみです。
- 宇宙まで突き抜ける年初来パフォーマンス。2018年はこのまま突き抜けるのでしょうか。
まとめ
私のポートフォリオは、5割がAMZN,4割がNVDA,1割がANETという構成です。
今回の分析結果に照らし合わせると、異次元クラスタが2銘柄、ヒャッハークラスタが1銘柄という構成で、AMZNとNVDAは本来別のクラスタの方がバランスが取れる気がしますので、改善の余地はあるかもしれません。
何はともあれ、ポートフォリオ構築の参考になればと思います。
今回使った階層クラスタリングなどの機械学習手法の入門書は以下の書籍が参考になります。もっと詳しく勉強したい方は書籍がおすすめ。