私はどちらかというとグロース投資が好きな部類の米国株投資家です。
ところが、どうやら米国株ブログ界隈ではバリュー投資の方が人気なようで、グロース系銘柄はあまり人気がないように感じています。
どちらの投資方針を取るかは本人の自由ではありますが、本記事ではグロース投資のプレゼンスアップの意味も込めて、バリュー投資とグロース投資について改めて考えていきたいと思います。
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バリュー投資を考える
バリュー投資 = 過去に比べて割安
バリュー投資は本来実力がある企業にもかかわらず、なんらかの要因で市場から評価が下がり、割安な株価で購入可能な銘柄を狙う戦略です。割安かどうかの判断にはPERやPBRなどの指標を使うことが一般的です。
今更説明するまでもありませんが、バリュー投資といえばバフェット御大が有名です。
そのためなのか、米国株ブログ界隈ではなぜかバリュー投資戦略が過半を占めているようです。
バリュー投資の考え方を下手くそな絵にすると以下のような形になります。
バリュー投資の論点
バフェットなどの成功によりバリュー投資は人気ですが、実践するにはいくつか論点があります。
1.そもそも企業本来の実力値が正しく判断できるか?
まず、バリュー投資の割安判断はあくまでその企業が本来持っている実力値を正しく判断できていることを前提にしています。
単純にPERが低い株を買えばいいというわけではなく、実力が低いからPERも低めになっているクズ株を排除し、本当に実力があるけど市場が気づいていないから割安になっている銘柄を見つける作業が重要となります。
そのために必要なのは企業分析ですが、その企業の真の実力を判断するためには、投資先の企業についての研究ももちろん必要ですが、その企業が所属している市場全体の動向、代替品の脅威についても調べ尽くす必要があるでしょう。
2.必然的に逆張りになり含み損を抱えやすくなる
割安になるということは、一時的には下がっているということです。
したがって、株価が落ちている時に買いに走る必要があり、いわゆる逆張りでの投資となります。
すると当然ですが、自身が買ったタイミングで株価が底を打つかどうかは運任せになりますし、普通ならそのまま暫くは下がり続けることを覚悟する必要があるでしょう。
3.景気が良いとそもそも優良割安株が少なくなる
景気が良い時には優良銘柄はたくさん見つかりますが、PERで見るとバリュー投資でいう割安水準に入る銘柄は稀です。
また、好景気時に無理に底PERの銘柄を見つけてくると、実はそういった銘柄は何かしらの問題が発生している銘柄の可能性が高く、V字回復できるかどうかは不確実性が高い場合が多いです。
4.成長しないリスクをどう捉えるか
企業は成長するからこそ株価が上がり、増配も可能となるわけです。しかし、この逆は成り立ちません。
株価が上がっている、何年連続で増配しているからこの企業は成長しているとは安易に判断できません。何故ならば、株価は期待感で上がるし、増配だってタコ足配当で企業の命を削って増配することも可能なためです。
成長しない企業は何かのタイミングでデジタル・ディスラプター(創造的破壊者)達の襲来を受ければ株価は急落することもあるし、自社の企業体力を考えずに限界ギリギリまで配当を繰り返せば減配することもあるでしょう。
そのリスクを許容することができるかも重要なポイントとなります。
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グロース投資を考える
グロース投資 = 未来と比べて割安
グロース投資家は、バリュー投資家が割高と判断し全く相手にしないような高PER銘柄も物色します。
しかし、グロース投資家はその銘柄を割高と思っておらず、少なくとも1年、2年のスパンで見た時には割安と感じているから買うわけです。
こちらも下手くそな絵にすると以下のようになります。
グロース投資の論点
未来のことは誰もわからない。不確実性が高い。
一般的にグロース投資が難しいと言われるポイントとして、本当に成長するかどうかの不確実性が高いということです。
厳密にはバリュー投資の場合でも未来はどうなるかわからないわけですが、グロース投資はボラティリティが高いため、読みを外した場合に致命傷になるリスクがあります。
したがって、何でもかんでも良さそうなグロース株を買うのではなく、少なくとも自分のよく知る業界だったり、技術だったり、企業を中心に投資していくことでリスクテイクしていくことが必要です。
業績が良くても期待を下回るとすぐに暴落する。
グロース投資は増収増益であることはさほど重要ではありません。(結果的に増収増益は求められるわけですが)
しかし、それ以上に重要なのが市場のコンセンサスを上回り続けることです。
グロース投資はほとんど期待だけで株価が上がり続けるため、市場の期待を裏切った瞬間に暴落します。それこそ10%前後急落することもザラなので、事前の見極めと心の強さが必要です。
したがって、どんなに良い技術を持っていても、毎回コンセンサスを上回ったり、下回ったりしているような企業はグロース投資先としてはリスクが高いでしょう。
特にコンセンサスを上回り続けるというのは企業の経営者の力量がモロに反映されます。継続してコンセンサスを上回っている企業はグロース投資としては安心感があるため過去のコンセナスをきっちり上回っているかどうかは事前に見るべきポイントです。
なお、過去4回分の決算について、コンセンサスをどの程度上回っているかはyahoo.comの個別株ページのAnaliticsタブで確認できます。
参考に以下はNVDAのコンセンサスの達成状況を示していますが、常に市場コンセンサスを20%〜40%上回っています。
ただでさえ市場の期待値が上がっている状況で、それを超えるサプライズを達成し続けるNVDAのCEOが尋常ではなく有能なことがわかります。
バリュー or グロース どちらでいくべきか?
本人の好みと向き不向きで選ぶと良いでしょう。(本来的にはその時々の相場で使い分けられれば良いのでしょうが。)
バリュー投資に向いている人
- 企業の既存のビジネスモデル、強みを理解している
- 企業の業績と株価の関係から割安状態を評価できる
- 企業の株価急落時に、その原因が致命的か否かを判断できる
- 逆張りが好き
- キャッシュポジションが厚めでも我慢できる。
- 金融危機などの暴落の匂いがわかる
グロース投資に向いている人
- 企業の新サービスや新ソリューションのパイプラインを理解している
- 市場全体としての成長性を理解している。
- 特定の業種や業界、技術についての土地勘があり、将来の社会への影響が読める
- 順張りが好き
- キャッシュポジションが厚いと機会損失しているようでソワソワする
- 金融危機の匂いどころか、企業価値の割安さも判断できない。
まとめ
バリュー投資もグロース投資も向き不向きがありますので、メリットデメリットを理解した上で自分にあった投資方針を選択しましょう。
ちなみに私はIT業界で仕事をしており、画像認識周りやAI/IoT領域の土地勘があるため、その近辺のグロース銘柄を中心に集中投資しています。
グロース株投資を行うのであれば、企業の分析だけでなく、バリュー投資以上に市場全体や社会全体の将来を分析することが重要と考えます。