今回も前回に続き、オニールの成長株発掘法を紹介します。
今回はグロース銘柄選定で最も重要になる、成長率の見極め方となります。
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目次
オニールの教え:Current Quarterly Earnings
教え①株を買うときは当四半期のEPSが前年同期比で大きく伸びている銘柄を選ばなければならない
大化けした銘柄は必ずEPSが前年同期比と比べて大きく伸びることをオニールは発見しました。
EPSは5〜10%の伸びではなく、30%、40%など大きく伸びている必要があると述べています。
また、注意すべきは前年同期比と比べるという点です。これは同じ四半期で比べることで季節要因などを排除できるためです。
さらにオニールは、EPSの伸び率に最低目標を設定することを推奨しています。成長率が20%未満の株は買いを控えることが望ましいとしており、成功している多くの投資家は最低目標を25%や30%に、オニール自身は40%以上に設定していると述べています。
教え②当期EPSが急増した企業を選ぶ
また、オニールは決算発表の際に、年間の当期EPSが急増する銘柄を選ぶように述べています。
その理由として、従来、年10%程度しか年間のEPS成長が見込めなかった企業が、突如として年間40%以上成長することができた場合は、何かしらの企業変革が成功したシグナルと捉えられるからです。
このようにEPSが突然増えることをウォール街ではアーニングサプライズと呼び、歓迎されているそうです。
教え③EPS増加に加え、売上高が増加した企業を探す
EPS同様、売上についても直近の四半期が前年同期比で25%以上増加している銘柄を選ぶことを推奨しています。
もしくは、3四半期連続で、前年同期比の上昇率の幅が着実に増えていることが条件としています。(例えば、5%→10%→15%など)
また、もし仮に、売上と利益の両方が3四半期連続で急速に伸びているような銘柄を見つけた場合、どんなに利益確定をしたくなっても売らずにしばらく保有しておくことが重要である点も指摘しています。
教え④2四半期連続で、EPS増加率が減少した場合は要注意。
前年同期比のEPS増加率が2期連続で減少した場合は、成長に陰りが見えたと判断することが必要となります。
オニールは一つの目安として、前四半期の増加率の2/3程度減少した場合は注意するように呼びかけています。
(EPS増加率が100%から30%の下落した等)
EPSと売上高の調べ方
このオニールの教えに沿って、自身の株のEPSと売上高を調べてみます。
調べ方は色々あり、以下のようは方法が考えられます。
- 個別企業の決算資料を集めて、excelで集計
- yahoo Financeなどから集計(ただし、前年同期比を出すのが面倒)
- Investor's Business Dailyを使う
当ブログでは計算が面倒なので、基本的に3のInvestor's Business Dailyを使って調べていきます。
Investor's Business Dailyとは
IBDはオニールが創立した株式情報メディアです。顧客には機関投資家などを多数有しています。
基本的にはオニールの売買ルールやチャートにしたがった情報を提供しているため、上述の前年同期比EPSとかはそのまま指標として持って来れます。
掲載されている情報は間違い無いのですが、1点だけ注意が必要な点があります。
それはサイトが比較的悪徳フィッシングサイトのような構造をしており、IBDの各種ツールの無料トライアルの広告がドカドカ入ってきます.
そして無料登録に申し込むとクレジットカードの登録を迫られ、無料期間が過ぎると自動課金される鬼畜仕様となっています。(しかも結局、月額いくらなのかわかりづらい)
何より悪どい点としては、一度、登録してしまうとWebサイト上から申し込みキャンセルができず、電話かチャットでの申し込みキャンセルが必要という点です。日本人にとっては解約のハードルが若干高いです。
得られる情報としては間違いなく有益なものが得られますが、この辺りを覚悟して活用ください。ただし、上述のEPSを調べる程度であれば無料で情報収集できます。
EPSと売上高の調べ方
①IBDにアクセスします。
②銘柄のティッカーシンボルを検索します。
③EPSと売上高を確認します。
上図の赤枠の部分が前年同期比のEPS増加率と売上増加率を意味しています。
上図はNVDAのものですが、EPSは60%増加、売上も32%増加とオニールの基準を満たしていることがわかります。
3四半期連続とか、スクリーニングは無料版ではできなさそうなので、そこは課金するか根性で乗り切りましょう。
検証:保有銘柄のEPSと売上高を確認する
NVDA
エヌビディアのEPS増加率、売上増加率を以下に整理します。
NVDAは2017年に入り3期に渡って、EPS増加率が基準の40%を大きく上回っています。売上増加率も30%以上と順調で、オニールの基準を上回っていることがわかります。
2017.3Qでは、EPS増加率が半減しましたが、オニール基準では1/3まで減少するのが2期連続という指針が出されているため、まだ許容範囲内です。
また、3年連続でEPSの推移を確認すると、2016年から2017年でEPSが100%以上急増していることがわかります。
オニールは本当に大化け銘柄はEPS増加率が100%〜500%の伸び率を示すと指摘しており、NVDAは当てはまります。
次に、株価の推移と照らし合わせてみます。
EPS変化率が急増する前までは株価は低迷していますが、EPS急増した2016年から徐々に株価が急上昇を開始しています。
オニールの指摘する通り、EPSの急増は成長のシグナルとして利用できそうです。
CGNX
次にまだ調整が続いて安値に落ち込んでいるCGNXです。
過去3四半期では、EPS増加率は1Qで200%、直近で93%と順調な成長力を示しています。売上高増加率も直近76%増と今後に期待が持てます。
2017.2Qで、オニールが注意するように述べている1/3以下の成長率の鈍化がみられましたが、2017年.3Qで成長力が回復しているため問題にはならないでしょう。
また、年間のEPS急増も、2015年に約56%増と増加しています。下表はモーニングスターのEPS推移から取ってきている数字なので、2017年度予測値が入っていませんが、2017年度のEPS予測は1.4であり、2016年度比で63%増の成長可能性を予見しています。
チャートと照らし合わせて見るとCGNXは2015年に配当を復活させています。一時的に株価を下げますが、2016年から2017年現在まで、急激な伸びを記録しています。
こちらも四半期単位でEPSの増加率を確認することで、上昇の初動を捉えられる可能性があったと考えます。
AMZN
次に間違いなくグロース株なのですが、こういった分析の時に扱いに困る銘柄の一つであるAMZNです。
はっきりいって、オニール流で分析するとAMZNは決してEPS優等生という銘柄ではありません。
上表のとおりAMZNは四半期EPS増加率で見ると、成績が悪いです。
売上の大部分を研究開発に回したり、プライム会員向けに多額の販促を行い顧客の囲い込みに使ったりと、極力利益を出さないような経営戦略からEPSでの評価が難しくなっています。
特にプライム会員向けの販促費は経費ですが、プライムデーのキャンペーンを売ったり、プライムミュージックやプライムビデオなどのコンテンツをかき集めたり、自社で開発したりと、将来の顧客を囲い込むための投資的な意味合いも強いと考えており、一概に高コスト体質と一刀両断することもできません。
年間のEPSは不安定ですが、年度単位ではものすごい上昇率を見せています。ちなみに2017年度予測は4.3なのでこのままでは2016年度から成長鈍化という評価になります。
チャートを見ると、AMZNの上昇は2015年度から始まっており、年間EPSが急増したタイミングと一致します。
AMBA
最後にAMBAです。
ちゃんと調べて見ると3QのEPS増加率がむしろマイナスで低すぎて絶望したため、2Q以前を調べるのをやめました。
AMBAは2015年から2016年にEPSが急増し、2017年に急落しています。
チャートと見比べると以下の通りとなります。
やはりEPSの急増に比例して2015年度に株価が急増し、EPSが減少傾向が現れると急落しています。
長期的なチャートの形を見ると、すぐには綺麗な右肩上がりにはなりそうもありません。
私が買った時は直近の急落タイミングで拾ったため、短期的な割安で利益を上げましたが、今後の長期的な成長という面ではかなり慎重に見極めていかないといけないと再認識しました。
もう少しポートフォリオの比率を下げて、2015年の新高値更新にトライするタイミングで見極めを行なっていきたいと思います。
まとめ
本記事では、オニールのCAN-SLIMのCについて紹介し、実際のグロース株の値動きとの検証を行いました。
結論としては、EPSの増加に着目して銘柄を分析していくことは、成長の予兆を発見する上では有効そうな戦略と言えるでしょう。
グロース投資であれば、自身の銘柄のEPSの増加率を記録していくことで、今後の成長性や急落リスクについても有益な示唆が得られると考えます。
次回はCAN-SLIMのAについての紹介と検証を行なっていきます。