投資戦略

Amazon Goの真の狙い

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2018年1月22日にアマゾン本社があるシアトルで、無人店舗型スーパー「amazon go」が正式オープンしました。

amazon goは今まで、2016年12月にそのコンセプトが公開され、約一年間アマゾンの従業員を対象に実証実験が行われていました。

現状、amazon goは無人で、手ぶらでモノを買うという目新しい顧客体験に注目が集まっていますが、私はアマゾンの真の狙いは「未来型店舗を作る」ことでは無いと思っています。

本記事では、アマゾンがamazon goを使い、今後の1,2年で何を目指していくのかを考えていこうと思います。

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Amazon Go

Amazon Goは2016年12月に、以下の一本のコンセプトムービーにより世界に公開されました。

Amazon Goは、その当時、ただただ手ぶらでモノを取ったら決済されるという、次世代型の購買体験を提案し、世界に驚きをもって受け入れられました。

実際、2017年は日本のコンビニ大手で、いずれもamazon goを意識したプロジェクトが立ち上がり、直近ではローソンが、携帯電話のカメラで商品バーコードを撮影すると、商品が買える、いわゆる「スマホ決済」のサービスをローンチしています。

しかし、ローソンの「スマホ決済」は、あくまでも本来、行うべきレジ打ち作業を顧客側に押し付けているだけであり、Amazon Goのように店側も、顧客側もシンプルで快適な顧客体験というには程遠いのが現状です。

このようにAmazon Goのようなコンセプトが世に出て1年以上経過していますが、Amazon以外は追随できないような先進技術が山ほど使われています。日本の企業で、このような実験店舗をリリースできるまでの技術力がある企業はおそらく無いでしょう。できるとしたらGoogleくらいな気がしますが、本業と違いすぎるためおそらく取り組まないでしょう。したがって、この領域でのAmazon独走はしばらく続くのではないでしょうか。

アマゾンのビジョンとビジネスモデル

次にアマゾンのビジネスにおけるAmazon Goの位置付けについて考えてみます。

アマゾンは、合理的にビジネスを進める営利企業です。決して、世界に対して、「新しい店舗」という夢を提案し、自社のブランディングに活用するといったことだけでは動かないと考えられます。

ましてや、本業はECです。今までリアル店舗をもっていたウォルマートならいざ知らず、アマゾンがわざわざリアル店舗を作り、それが無人店舗であるという行為には必ず何か意味があるでしょう。

そこで立ち返るのはアマゾンのビジョンです。

アマゾンはあくまでECで「エブリシングストア」を目指すという目標をもっています。そのためにECでの取扱商品カテゴリは拡充の一途を辿り、アパレルや生鮮食品を強化しようとしている最中です。

忘れてはいけないのは、アマゾンは最初からリアル店舗でウォルマートを駆逐しようなどとは思っていないだろうということです。今回のAmazon GoもECのための一手と考えるのが自然だと考えます。

Amazon のビジネスモデル

下図は天才ジェフ・ベゾスが紙ナプキンに書いた、アマゾンの成長戦略のモデル図です。

いわゆる、プラットフォームビジネスにおける成長戦略をアマゾン流に端的に表しているパワフルなモデルです。

図の意味は、アマゾンの成長には2つのサイクルが回っていることを意味しています。

一つはECを中心としたサイクルです。売り手が増えれば、商品の選択肢が増え、顧客満足度に繋がり、アマゾンドットコムの集客力が上がる。集客力が上がると、魅力的なECになるため、再び売り手が増えるといった好循環です。

アマゾンはこの循環を回すために、マーケットプレイスで、取扱商品を増やすことに注力しています。

もう一つのサイクルは成長のサイクルです。上記のサイクルが回り始めると、アマゾンは利益を得はじめます。その利益をITなどに投資し、ローコストオペレーションを実現し、商品価格に反映することで安く商品を売り、それが顧客満足度に繋がるというサイクルです。

アマゾンは何よりもこの成長サイクルを重視しており、得られた利益のほとんどを成長のための投資に使っています。

ここでAmazon Goの話に戻ると、Amazon Goの戦略的位置付けは、間違いなく「Lower Cost Structure」に位置する取り組みであることがわかります。何故ならばアマゾンは顧客満足度を商品品揃えと、低価格によって提供することを目指しており、店舗の無人化、レジレス化はアマゾン本来の提供価値では無いからです。

したがって、次にアマゾンが取り組むのは、Amazon Goによるローコストオペレーションを商品価格に転化し、低価格化していくことと考えられます。

Amazon Go戦略の3つの伏線

ここでアマゾンが近年の象徴的な取り組みと、Amazon Goの取り組みを結びつけ、一つのストーリーを考えていきます。

伏線1:ホールフーズマーケットの買収

アマゾンは2017年に米スーパーマーケットのホールフーズを買収しています。

ホールフーズは、アメリカでは高級志向のスーパーマーケットで、日本で言うところの成城石井的な位置付けです。

アマゾンはホールフーズマーケットの買収目的の一つとして、アマゾンフレッシュの配送拠点網として活用する意思を示しています。

また、ホールフーズはアマゾンに買収された直後に、店舗内の商品の大セールを行いました。今までの半額近く商品価格を割り引いて販売を行い、消費者側にも好意的に受け入れられました。

伏線2:アマゾンフレッシュの拡大

日本でも猛烈にキャンペーンを打っていますが、Amazonはアマゾンフレッシュの拡大に力を入れています。

それは、ベゾスが売上を成長させるための商品カテゴリとして、名指しで生鮮食品とアパレルが重要であると述べていることからも力の入れ具合を感じ取れます。

しかし、生鮮食品は他のアマゾン商品と比べて難しい特性があります。それは「生鮮」であることです。

「生鮮食品」を宅配で扱うためには、生鮮食品用の温度管理が可能な専用トラックを使い、いわゆるコールドチェーンを構築しないといけません。

しかもコールドチェーンを構築できたとしても、できるだけ移動距離は短い方がよく、消費地に近接した配送拠点の整備が必須となります。

生鮮食品の配送は、日本のネットスーパー系でも盛んですが、その方法は遠方の倉庫から配送するパターンと、近隣のスーパーから直接配送するパターンがあり、現状は、後者の方が何かと都合が良いようです。

このような背景から、街の中にラストワンマイルの配送拠点を有しないアマゾンはアマゾンフレッシュの物流網構築に苦戦しており、前述のホールフーズの買収に繋がるわけです。

伏線3:アマゾンエコー

日本ではグーグルホームが頑張ってますが、世界のシェアで見るとアマゾンエコーが7割と先行者の強みを生かし、圧倒的なシェアを獲得しています。

アマゾンエコーはリビングやキッチンに置かれるようになり、声で注文できることから、アマゾンフレッシュとの親和性が高いです。

また、クックパッドなどの料理系スキルも備えているため、アマゾンフレッシュと連携していくことが考えられます。

Amazon Go の本当の戦略

以上を整理すると、アマゾンはAmazon Goを使い、以下のような道に進んでいくことが考えられます。

真の狙い:アマゾンフレッシュの高速物流拠点としてのAmazon Go

Amazon Goは無人店舗です。普段、スーパーで買い物をするとよくわかりますが、レジ打ち人件費は半端なく、それがゼロになると考えると猛烈にローコストな店舗オペレーションが実現できます。

店員は、入荷してきた商品を受け入れ、陳列棚に補充するだけの仕事です。普通のスーパーと比べて運営コストは半減するでしょう。

そうなると店舗としての幅広がります。ホールフーズの高級な商品を庶民的な価格で販売することもできますし、今までは商圏が小さく出店できないようなエリアにも出店することができるようになります。

おそらくアマゾンはその両方をやっていくことになるでしょう。

想像してみてください。成城石井の高級感のある商品が、SEIYUの値段で買え、しかも大小様々な大きさの店舗が、コンビニのように街に出店される。この無人化によるローコストオペレーションはそういう世界が実現できる程、インパクトがあるイノベーションです。

これが実現できれば、ウォルマートが出店している街には必ず出店し、ウォルマートが出店できないような過疎地域にも、小型の無人店舗として出店していくことになるでしょう。

店員は最低限陳列を行う店員と、アマゾンフレッシュの配達員だけが入れば成り立ちます。配達員も注文がないときは、Amazon Goの管理を行えばいいので効率的です。

しかも、大量に出店できるということは、ラストワンマイルの配送スピードが猛烈に短縮されます。将来的に、頼んだら30分以内で配達するなども実現されるかもしれません。

もし仮に、頼んで30分で最寄りのAmazon Goから食材が届くようになったら、私たちの生活は激変します。

人々は、アマゾンエコーで今日のオススメの夕飯メニューを検討し、足りない食材はアマゾンエコーで注文。料理の用意をしているとアマゾンフレッシュが30分以内に足りない食材を届けてくれる。そんな世界が現実になってくると考えます。

こうなると、ウォルマートも本格的にヤバイです。リアル店舗での購買はなくなることはないでしょうが、確実にECでの購買に奪われていくことになるでしょう。

副次的な狙い:リアルのコンビニ業態が壊滅する

これはいくつかのメディアで指摘されている点ではありますが、リアルのコンビニ業態も壊滅の危機に直面するでしょう。

何故ならば、前述の通り店舗を運営する上でのコストが全然違ってくるからです。成城石井のような商品が、ローコストで、レジ待ちなしで買えたら、他のコンビニにいく必要ないですよね。

しかも、世のコンビニは、人不足、店長不足が進み、店舗運営自体が困難になりつつあります。しかし、amazon Goは人自体が最低限でいいため、人が少ない地域でこそ猛威を振るいます。アマゾンがAmazon Goを急速に出店し始めたらコンビニ業態もいよいよ本格的に追い詰められるような状況になると考えます。

まとめ

アマゾンの基本的な戦略は、規模を広げることでコストをゼロに近づけることができるWEBの世界で圧倒的なシェアを獲得することです。

リアルの市場を抑えるために、リアル店舗を出店しまくるような旧来型なビジネスは行わず、必ずWEBを加速させるためのツールとしてリアル店舗を活用していくでしょう。

しかし、Amazon Goでリアル店舗でも他のプレイヤーとは一線を画すローコストな事業運営が可能になりました。これをテコに2018年はさらに業績を拡大してくことはほぼ間違いないものと考えられます。

オニール的にいうと、今回のAmazon Goの発表は、もっとも強烈な「新商品の発表」であり、現在進行形で新高値を更新中です。大化け銘柄となる条件を満たしており、今後、数倍になるポテンシャルを秘めていると感じます。







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