新型コロナウィルス(covid-19)により、金融経済、実社会に多大な影響が及ぼされました。
日本では緊急事態宣言が明け、社会全体も徐々に日常を取り戻してきているので、
今回はコロナに勝った銘柄、負けた銘柄を整理していこうと思います。
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データ集計の前提
集計期間:2020/1/30-2020/6/19
WHOが「国際的な緊急事態」を宣言した1/30から6/19までを集計します。
なお、本稿では1/29以前をコロナ前と呼びます。
集計対象銘柄:取得できたS&P500銘柄 + SaaS系銘柄 計499銘柄
S&P500に採用されていない、小型SaaS系銘柄を足しています。なお、網羅はしていません。
また、当該期間に買収やティッカー変更などの要因により、pythonでエラーとなり取得できていない銘柄もあります。
あと、GoogleはGOOGLだけにしました。値動きほぼ同じなので。
手法:ward法(偏差平方和)による階層クラスタリング
特に手の込んだことはしない。
クラスタリング結果
クラスタリング結果を以下に示します。
まぁ500銘柄あるんで見えないんですけどね。(クリックで元画像開けるので、拡大して見てください。)
図の見方ですが、コロナ禍における日々の値動きが似ている銘柄が同じクラスタに分類されており、隣り合ったクラスタは比較的似た性質を持っているという事です。
クラスタ番号は、左から1〜27までのクラスタで分けています。
また、下表は、各クラスタの基本統計量を集計したものです。
cluster | count | mean | std | min | max |
cluster 1 | 23 | 0.503 | 0.061 | 0.359 | 0.615 |
cluster 2 | 9 | 0.593 | 0.067 | 0.482 | 0.676 |
cluster 3 | 11 | 0.443 | 0.033 | 0.387 | 0.484 |
cluster 4 | 1 | 0.117 | NaN | 0.117 | 0.117 |
cluster 5 | 41 | 0.654 | 0.056 | 0.498 | 0.746 |
cluster 6 | 21 | 0.746 | 0.055 | 0.643 | 0.844 |
cluster 7 | 29 | 0.708 | 0.027 | 0.664 | 0.760 |
cluster 8 | 18 | 0.659 | 0.049 | 0.565 | 0.768 |
cluster 9 | 2 | 1.972 | 0.222 | 1.815 | 2.129 |
cluster 10 | 1 | 2.114 | NaN | 2.114 | 2.114 |
cluster 11 | 1 | 3.100 | NaN | 3.100 | 3.100 |
cluster 12 | 18 | 0.839 | 0.071 | 0.693 | 0.943 |
cluster 13 | 15 | 0.754 | 0.034 | 0.703 | 0.820 |
cluster 14 | 43 | 0.816 | 0.042 | 0.734 | 0.945 |
cluster 15 | 13 | 0.854 | 0.029 | 0.802 | 0.903 |
cluster 16 | 34 | 0.798 | 0.031 | 0.751 | 0.861 |
cluster 17 | 17 | 0.947 | 0.050 | 0.875 | 1.071 |
cluster 18 | 45 | 0.920 | 0.049 | 0.830 | 1.039 |
cluster 19 | 12 | 0.996 | 0.048 | 0.926 | 1.080 |
cluster 20 | 19 | 1.076 | 0.060 | 0.955 | 1.194 |
cluster 21 | 30 | 1.010 | 0.057 | 0.900 | 1.144 |
cluster 22 | 34 | 0.940 | 0.047 | 0.839 | 1.005 |
cluster 23 | 3 | 1.760 | 0.190 | 1.586 | 1.962 |
cluster 24 | 1 | 1.700 | NaN | 1.700 | 1.700 |
cluster 25 | 6 | 1.396 | 0.097 | 1.281 | 1.556 |
cluster 26 | 6 | 1.270 | 0.062 | 1.181 | 1.357 |
cluster 27 | 10 | 1.107 | 0.081 | 0.897 | 1.194 |
クラスタに所属する銘柄数がcount列、2020/1/30を起点にし、6/19時点で株価が何倍になっているかがmean列です。
stdは標準偏差、min,maxは各クラスタの最小値と最大値です。
コロナ禍でも上がったクラスタの数値を黄色、大きく下がったクラスタの数値を赤色で示しています。
コロナ米国株ガチャ。結局当たりはどれだったか?
最強大当たり:クラスタ9,10,11の4銘柄(神に愛された銘柄)
コロナが完全追い風となった、コロナ銘柄は我らがZMに加え、EQT、RRC、SWNの4銘柄でした。
やっぱり最強だったZMは、他の3銘柄とも違う値動きをしており、ほぼ一次関数的に右肩上がりです。
コロナ初期に世の中がZoom、Zoomと騒ぎ出したころに、気合と根性でこの船に乗れた投資家は全員儲かっています。羨ましいですね。
超当たり:クラスタ23,24の4銘柄(SaaSテレワーク銘柄)
コロナ銘柄でやっぱり強かった小型SaaSテレワーク軍団。
小型軍団は、吹いたら飛ぶような時価総額です。コロナ初期では大直撃し、一時最大で40%のドローダウンが発生する銘柄もありました。
しかし、コロナで投げずに握り続けられていたら、1.5倍から2倍弱のパフォーマンスをあげられることができていた大当たりクラスタです。
いずれもコロナ文脈でのSaaS需要や、巣篭もりゲーミング需要でのNVDAなど、コロナ禍での上がる理由はありました。
大当たり:クラスタ25、26、27の22銘柄(その他SaaSと巣篭もり銘柄)
その他SaaS、EC系、動画コンテンツ(NFLX)、ゲーム(NVDA)などの巣篭もり銘柄は結局強かった。
私の保有銘柄のうち2種(AMZN、NVDA)もこの群でした。
このクラスタ群の特徴は、コロナ初期で、一時的に20%程度のドローダウンが発生しましたが、比較的すぐリバウンドし、コロナ前水準を維持していた点です。初動さえきっちり握っていられればコロナ後期は比較的、握力を保ちやすかったと思います。
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コロナ直撃銘柄はどれだ
次にコロナ直撃を受けて、依然としてコロナ前水準に全く戻っていないクラスタ群をみていきます。
コロナ大打撃クラスタ12〜16の123銘柄
コロナ直撃後の値動きとしては、だいたい傾向は同じです。
3末でガツンと下げて、徐々にあげていくが、今現在でもコロナ前水準には戻っていないクラスタ群です。
リバウンドの角度や、日々のボラティリティの高低で細かいクラスタに分けられている感じですね。
持ってたら瀕死。クラスタ1、2、3、5、6、7、8の152銘柄
今年、コロナが発生したのが運の尽き。コロナ一発で60%〜80%のドローダウンが発生した瀕死銘柄です。
ざっとみた感じだと伝統的な企業が多いですね。株価が1/3程度になったため、超高配当銘柄が沢山あるのではないでしょうか?(配当がコロナ前水準で維持されるなら)
その他
コロナを食らったがなんとか乗り切ったクラスタ17〜22(157銘柄)
コロナ直撃で1/2程度まで株価が落ちましたが、握ってさえいればなんとかコロナ前水準まで戻してきた銘柄群です。
世界規模でも市場全体のパニック売りは時間をかければ元値まで戻るのが今までの米国株市場でしたので、今回も例に漏れずに回復できました。
おそらく、本業への影響は限定的な企業が多いのではないでしょうか。
クラスタ17
クラスタ18
クラスタ19
クラスタ20
クラスタ21
クラスタ22
コロナによって死んでしまった銘柄(1銘柄)
なんでこうなっているのか不明ですが、死亡中の銘柄。コロナ関係なくそもそもヤバかったのではないか?
まとめと示唆
株価は様々な要因が重なり合って日々の値動きを形成していきます。
今回は、リーマン以来、10年に1度クラスの大きな金融・経済危機でした。
今回のような世界的な危機の中での株価の値動きがどのような推移になるかというのが、次の危機の時の銘柄検討に役立てることができるでしょう。
また、今回の値動きをベースとしたクラスタリングの結果は、自身のポートフォリオ見直しの材料となるはずです。
株価は、ビジネスモデル、提供しているサービスの性質、セクター、B/S・P/L・CFの構造などに応じて反応し、似た値動きをする銘柄と異なる値動きをする銘柄に分かれます。
今回は、約500の銘柄を27のクラスタに分類しましたが、仮に自身のポートフォリオにおいて、同じクラスタ内の銘柄が3つも4つも採用されている場合は、総合的に似た銘柄を選んでいるということになります。
その場合、ポートフォリオの分散効果はほとんどないため、同一クラスタ内の銘柄はその中で強い銘柄1、2個に絞る、似たクラスタで別の値動き特性を持つ群や、全く別の値動きをするクラスタの銘柄を混ぜて分散させる、といったことが有効だと思います。